絶版本、電子書籍で復活!【幽霊本復活プロジェクト】

■幽霊本復活プロジェクトとは

シュタイナーや人智学に関する日本語の本は、数多く出版されています。それでも膨大な関連書籍の数から見れば、日本語で読める本はドイツ語のそれにくらべて、7分の1にもならないのではないかということです。また、過去に翻訳されて出版された本の中には、諸般の事情で残念ながら現在では絶版となって入手できないものもあります。

 シュタイナーや人智学に関連する本をインターネットで検索すると、かなりたくさん出てきます。新刊も毎月のように出ているので、一見、出版環境は悪くないように見えますが、実態としては、出版されたとしても小部数であったり高価格であったり、となかなか厳しい状況です。

「シュタイナー思想 幽霊本復活プロジェクト」はこのような時代のなかで、シュタイナー思想をベースにした人智学、シュタイナー教育、治癒教育、農業などを学ぶためのテキスト、基本図書・文献を提供できないかと考えてスタートしました。

■プロジェクトのきっかけ

 プロジェクトのきっかけは、「教育の基礎としての一般人間学」を読むある読書会でした。テキストは筑摩書房版(高橋巌訳)を使用していましたが、イザラ書房版の「教育の基礎となる一般人間学」(新田義之訳)を持っている人もいました。読み比べてみると、訳文が異なることにより印象や理解に違いがあることに気がつきました。その理由が何かを整理するのはとても難しいことです。しかし、それとは別に同じ原典に対して複数の翻訳があることは、学びを進める上で大事なことではないかと気づきました。さらに調べてみると、新田義之先生が訳したイザラ書房版は1980年代に人智学出版社から出版されたものの復刊でした。そして人智学出版社の目録を入手してみると、他にもかなりの数の翻訳書があり、すべて絶版となっていて、いまでは日本語で読めないものも含まれていました。

 そこで、それらの絶版となってしまった本の復刊の可能性を探ろうと「幽霊本復活プロジェクト」が2008年の12月にスタートしました。

■なぜ「幽霊本復活プロジェクト」?

 「幽霊本」とは古書界での用語で、刊行の予告はあったのに実際は出版されなかった本、または過去に出版されたことが確実だが現在では失われてしまった本のことだそうです。プロジェクトで復刊しようとする本は必ずしもまったくなくなってしまってはいませんが、ときおり古書店などで高価で取引される状態では多くの人にとってはないのと同じなので、こんな名前をつけてみました。

■プロジェクトがこれから目指すもの

ルドルフ・シュタイナーの思想を原点とした人智学に関連する書籍で、手に入らないものの出版を考えています。また、治癒教育や理数科教育についての情報発信も取り上げていきたいと思っています。具体的には次の3点を中心とします。

・入手困難なシュタイナーや人智学に関する絶版本の復刊
・上記内容の開かれた形での費用のかからない商業出版
・講演会や研究会などの成果を活用した新しい発信

これらを進めることで、人智学やシュタイナー思想をベースにした教育方法などへの理解が広まり、ひいては子どもたち(大人も同様ですが)の成長に役に立てたら素晴らしいと考えています。

■これまでの活動と今後の計画

 「幽霊本復活プロジェクト」は2008年末より動き出し、200910月にはじめての成果として次の3点を株式会社みくに出版より復刊しました。

「いかにカルマは作用するか」 新田義之./訳
ISBN978-4-8403-0395-8
 1575円 A567ページ
「人智学・神秘主義・仏教」 新田義之/編
ISBN978-4-8403-0396-5
 1680円 A573ページ
「精神科学の立場から見た子供の教育」 新田義之/監修 大西そよ子/訳
ISBN978-4-8403-0397-2
 1470円 A559ページ

いずれも人智学出版社より1980年代に出版された書籍です。引き続き、次の書籍の復刊を予定しています。

「星空への旅」     E.ムルデル/著 新田義之/監修

「教育と芸術」              新田義之/編

「精神科学と社会問題」      河西善治/編

「マルコ伝」                新田義之/監修

■人智学出版社の本を復刊するまで

 人智学出版社の本を復刊するにあたり、監修者、翻訳者として多くの本にかかわっておられる新田義之先生の大きな協力をいただいております。またすでに復刊した本の訳者として味形修先生や鈴木そよ子先生(旧姓大西)にも許諾をいただくとともに訳文の確認をお願いしました。

 人智学出版社の河西善治代表にも、最初の段階からご協力いただきました。その他にも多くの方々の力をお借りしています。この場を借りて、あらためてお礼申し上げます。


■オンデマンド出版と電子書籍

シュタイナー思想や人智学関係の本を出版しようとする際に、いちばん大きな障害は、本があまり売れないことが予想されることです。一般の専門書の出版ではどうしても最初にある程度の部数(500部以上、理想的には10002000部以上)を印刷しなければなりません。そしてそれを、3年から5年程度で販売し「元をとる」というのがビジネスモデルです。その間には、出版流通特有の返品や在庫管理の問題があり、良心的な出版を続けるためには大変なリスクがあります。

このプロジェクトではそのリスクを、オンデマンド出版(POD・プリントオンデマンドによる)と電子書籍による流通の2本立てにより克服しました。

オンデマンド出版とは、デジタルデータをもとに高速のデジタル印刷機を使い注文の都度、印刷するプリントオンデマンドの方法を利用した出版です。この方法により低コストで在庫を持つことなしに「紙の本」の出版が可能になりました。

また電子書籍による流通は、パソコン上での購読を前提にインターネットからファイルをダウンロードするデータ販売です。こちらも印刷や配送コストがかからず、もちろん在庫もないので低コストとなります。

二つの方法で流通をさせることは、読者の方の選択肢を広げることにもつながります。

2009.10

従来の形の本を求める方には、オンデマンド出版による書籍を提供します。学生や若い研究者のようにパソコン操作に慣れた方に対しては、本に比べて低価格の電子書籍を提供できます。これにより紙の形が欲しいという要望にも、切り詰めた生活のなかで学びたいという要望にも応えることが可能になりました。

■幽霊本プロジェクトの本はどこで購入できる?

オンデマンド版(紙の本)は、みくに出版webshopで購入することができるほか、アマゾンなどのネット書店、全国の書店から注文が可能です。また、電子書籍版は、近日中に電子書店パピレスや紀伊国屋書店、ジュンク堂などのホームページで購入が可能となります。

・みくに出版webshop http://www.mikuni-webshop.com/

・電子書店パピレス http://www.papy.co.jp/

 また、下記の書店では在庫していただき販売しています。

・フォーラムスリー http://www.forum3.com/

・ちえの木の実 http://www.chienokinomi-books.jp/